真愛
「ふう、食った食った♪やっぱり奈々ちゃんの手料理は世界一だね〜♪」
「お世辞いいすぎ。そんなに褒めても何も出ないよ」
「飯食ったんだからとっとと帰れ」
冷たく言い放つ尊。
ブリザードの如く冷たいよ。
「へーへーへー、わかりましたよ!!いつも俺に冷たいんだから…」
ぶつくさいいながらも渋々出て行った。
「やっと帰ったか……」
「尊、楽にすごく冷たいよねw」
「俺と奈々の時間を邪魔する奴が悪い」
何その子供っぽい考え…w
拗ねてみたって可愛いだけなのにw
そっぽ向いて拗ねてる尊の頭をそっと撫でた。
すると勢いよく抱きついてきた。
ふふ、勢いよく抱きついてくるのは珍しい。
ちょっと嬉しくなって私も抱きつき返す。
「やっと……やっと…俺の女になったんだな」
「まさか極道に関わる日が来ようとはね?」
くすくす笑ってみせる。
つられて尊も微笑んだ。
「ほんとにいいんだな?後戻りなんてできないぞ。逃げるなら…今だ」
ちょっと悲しげに微笑む尊。
今にも泣きそうな表情。
「ふふふ、尊はバカね?」
「あ?なんだと?」
「離さない、って…いったでしょ?私が離れようとしたって離さないって。その言葉、信じてるから」
目を見開いて驚く。
でもすぐに元に戻って、微笑んで私を抱きしめた。
「あぁ、そうだった。俺は1度手に入れたものは手放せない主義だった」
この瞬間、私は生まれて初めてこんなに幸せだと感じた。
でも私はまだ気が付かなかった。
ーーー私たちの幸せは
そう長くは続かない。