真愛



「ふう、食った食った♪やっぱり奈々ちゃんの手料理は世界一だね〜♪」

「お世辞いいすぎ。そんなに褒めても何も出ないよ」

「飯食ったんだからとっとと帰れ」

冷たく言い放つ尊。

ブリザードの如く冷たいよ。

「へーへーへー、わかりましたよ!!いつも俺に冷たいんだから…」

ぶつくさいいながらも渋々出て行った。

「やっと帰ったか……」

「尊、楽にすごく冷たいよねw」

「俺と奈々の時間を邪魔する奴が悪い」

何その子供っぽい考え…w

拗ねてみたって可愛いだけなのにw

そっぽ向いて拗ねてる尊の頭をそっと撫でた。

すると勢いよく抱きついてきた。

ふふ、勢いよく抱きついてくるのは珍しい。

ちょっと嬉しくなって私も抱きつき返す。

「やっと……やっと…俺の女になったんだな」

「まさか極道に関わる日が来ようとはね?」

くすくす笑ってみせる。

つられて尊も微笑んだ。

「ほんとにいいんだな?後戻りなんてできないぞ。逃げるなら…今だ」

ちょっと悲しげに微笑む尊。

今にも泣きそうな表情。

「ふふふ、尊はバカね?」

「あ?なんだと?」

「離さない、って…いったでしょ?私が離れようとしたって離さないって。その言葉、信じてるから」

目を見開いて驚く。

でもすぐに元に戻って、微笑んで私を抱きしめた。

「あぁ、そうだった。俺は1度手に入れたものは手放せない主義だった」

この瞬間、私は生まれて初めてこんなに幸せだと感じた。

でも私はまだ気が付かなかった。

ーーー私たちの幸せは
そう長くは続かない。






< 58 / 174 >

この作品をシェア

pagetop