失恋にも浸れない!〜私、王子様の彼女になったんですか!?〜
振り返りたくない。

声の主は振り返らなくてもわかる。

和泉陽汰だ。




なのでそのまま

「な、グズっ……何?」

それでも、嗚咽が交じる。

「……」

喋らない、それでも、腕を離さない和泉に、

「満足?」

そのまま伝える。



「……。」

それでも、まだ喋らない和泉に向き直り、
下を見ながら、

「笑えばいいじゃん!!全く検討違いな努力して、可愛いって褒められて、馬鹿みたいに喜んで!!」

「私なんて!!」

「私なんて!」



「私に……なんて……そ、湊太くんは、全く興味も掠めてなくて……グズっ……」
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