距離0センチ
「そこら辺にいれば、走るとこ見れると思うよ!」
「わかった。ありがとう」
私はベンチに座って、重たい荷物を置いた。
日差しがグラウンドを照りつける。
まっすぐに伸びた白いラインが眩しい。
ああ、ここを選手たちが走るんだと思ったら、ワクワクしてきた。
私は陸上競技には詳しくないけれど、とても楽しみ。
「紫乃先輩ー!」
呼ばれた方を振り向くと、大会用の格好をした立花君が、こちらへ走ってきた。