距離0センチ
男子100m、立花君の走る順番だ。
……いた。
周りは先輩が多いはずだけど、立花君はそれに負けないオーラと存在感がある。
まだ1年生だけど、立派な選手だった。
選手たちがスタートの準備を始める。
私もしっかりと心構えをし、準備する。
立花君はもうさっきまでの彼じゃない。
初めてみた真剣な表情。
そういえば、彼が走るところを初めて見る。
ああ、こんな顔もするんだ。
力強く射抜くような瞳。
ゴールだけを見つめている。