オオカミ専務との秘めごと
「風呂に、入ってこい」
広いバスルームで丁寧に体を磨く。
今夜、私の初めてを、彼に捧げることになるんだろうか。
『嫌がることはしない』
彼に触れられるのは嫌じゃない。
さっきキスをされて、もっと触れてほしいと思ってしまった。
私は、彼のことが好きになっている・・・。
「お風呂ありがとうございました」
「ん、待ってろよ」
入れ替わりに彼がバスルームに行き、私は濡れた髪をタオルで拭いて手グシで整える。
テーブルの上にあったケータリングは綺麗に片づけられていて、テレビの映画はとっくに終わってニュースを映していた。
夜景はビルの明かりが消え華やかさがなくなり、部屋の中が窓に映るようになった。
その大きな窓に大神さんが映って、私に近づいて来るのが分かる。
首にタオルをかけていて、私と同じ黒のスウェット上下を着ているようだ。
窓に映る彼は屈んで、私の頭に手を伸ばした。
「やっぱりまだ濡れてるな。俺が乾かしてやる」
大きなドライヤーを手に持っているのが見え、熱風が髪に当てられた。
髪を手グシでサラサラとこぼしながら乾かす様は、まるで美容師みたい。
「上手なんですね?」
「そうか?だが、女の髪を乾かすのに慣れてるわけじゃない。そこ、勘違いするなよ」
「はい。わかりました」
なんだか大神さんが可愛く思え、つい笑ってしまう。