オオカミ専務との秘めごと

夜八時のアパートの部屋。

食事を終えた私はテーブルに向かって正座をし、ピンクスマホを持って頭を悩ませている。


『最近どうですか?お仕事はありますか?お部屋のお掃除でも何でもいたします!ご連絡ください!』


これでいいだろうか。

なんだか、何でも屋の広告みたい・・・?

でも、世間話をするわけじゃないから、これ以外にいい文面が思い付かない。


ドキドキしながらメールを作り、震える指で思い切って送る。


「あはは、送っちゃった」


初のお仕事要求メール。

彼のマンションでお泊まりの仕事をして以来、ピンクスマホには何の連絡もない。

『連絡する』と言っていたから待っているけど、忙しいんだろうか。


『忙しいかどうかは気にするな』


バンバン言ってこいと、あのとき言ってくれたから勇気を出してみたのだ。

だって謎の“可”評価をもらったし、ここは頑張ってワンランク上の“良”を目指さねばならないから。

じっと待っていたら“不可”になってしまう。

そうしたら、解雇されちゃうかもしれないのだ。

大神さんの同情から始まったレンタル雇用は、彼の胸の内一つでどうなるかわからないもの。

もしも解雇になったら・・・。

最悪の状態を想像して切なくなり、頭をぶるぶると振って打ち消した。


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