オオカミ専務との秘めごと

「そ・・・!?そう、それならいいわ。わざわざ知らせに来たの。ありがとー」

「それで、書類の間に納品書がたくさん挟まっていました」

「あーーっ、これ、すっごく探していたのーー。ありがとー」


納品書の束を渡すと、封筒に入っているものを見て嬉しそうにする。

これでちゃんと仕舞えるわーと言って封を開け始めた。


「あのそれで・・・これ、ちゃんとその時に処理しないといけないと思います。封も開けてないのがありますし。総務で必要なものもあります」


なるべくやんわりと言ったつもりだけど、竹下さんはキッと眉を吊り上げた。


「そんなこと分かってる!でも大した仕事をしていないあなたと違って、私は、すっっごく忙しいの!」

「でも、月末の請求処理に影響しませんか?忙しいにしても、別の場所に置く癖をつけた方がいいと思います。交じると厄介ですよね?」


相手の怒りに乗らないように努めて提案すると、竹下さんはムスッとしたままパソコンの横にあるトレイを指さした。

いつもはそこに置くらしい。


「これは、とりあえずデスクに置いていたのが、たまたま書類の間に挟まっただけー。月末の処理ならちゃんと業者から納品書の控えをFAXしてもらってるから平気なのー」


堂々と言うけれど、業者さんには失くしたからFAXしてほしいって頼んでるんだろうか。

それって会社の信用問題に関わるのでは・・・?


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