隣の部屋と格差社会。
「大学を卒業してから3年後に恵吾と結婚したの。結婚してから、恵吾は竜一君と会ってたみたいなんだけど私はだんだん会わなくなってて。
再会したのは、恵美が産まれる少し前。」
美奈子さんは、左手の薬指に嵌った指輪をゆっくりと撫でた。
「恵吾から話を聞いてたみたいで、お祝いを持ってきてくれたの。
そして告白されたの、竜一君に。」
一瞬、指輪が光った気がした。
「大学生のころ、好きだったんだって過去形でね。すごく驚いた。実は両想いだったんだなって。
恋愛って本当にタイミングが大事なのね。」
やっぱり。佐渡さんは、美奈子さんのことが好きだったんだ。
ピースがぴたりと嵌ったように、なんだかすごくしっくりと来た。