隣の部屋と格差社会。



『忘れてください』


そう言った彼女に、ただ合わせるしかなかった。


無理矢理明るく振る舞う姿は痛々しくて。

自分がこんな姿にしてるんだと思うと、情けなくて。

彼女の言う通りに、前までのように接することしか出来なかった。


煮えきらない思いを抱えて、どうすればいいのか立ち往生していたとき、駅からマンションへと帰る道沿いにある公園で、彼女の姿を見つけた。


真っ赤に染まる空を眺める彼女に、いつのまにか見入ってしまっていた。


幸せについて考えてたという彼女は、俺にとっての幸せを問う。


幸せ…。


恵吾の葬式で、喪主を務めた身重の美奈子を見て、2人を守っていくと決めた。


自分の幸せを犠牲にしても、守っていくと決めた。


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