隣の部屋と格差社会。


なんて、居るわけないか。


隣の部屋に明かりはついているが、バルコニーには誰も居なかった。


「馬鹿だな、私。」


佐渡さんに会いたい、なんて。どこまで、佐渡さんに甘えるつもりなんだろう。


梅雨独特のジメッとした空気にますます心が陰気になりそう。


もう部屋に戻ろう、そう思って再び窓に手をかけたとき、


ーーーガラ。


「あ、居たのか?」


煙草を手に持った佐渡さんは、吸ってもいいか?と聞きながらバルコニーへと出てきた。


会いたいとは思ったけど、本当に会えるなんて。

まさかの事態に、心臓がばくばくと波打ち始める。


「大家さん絶対忘れてるよな。」

「へ?あ、そうですね。」


佐渡さんがそう言いながら指さすのは、本当は仕切り板があるはずの場所。

一瞬、なんのことを言ってるか分からなかった…。

あまり頭が働かない。


「なんかあったのか?」

「え?」

「いや、なんか元気ないと思って。」



心配そうに眉を寄せた佐渡さんと目があった。


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