あの春、君と出逢ったこと
珍しい事……なのかな?
私も、最初は驚いたけど、煌君は普通にこんな事をする人だと思っていた。
『栞莉チャン、こいつに、何かされそうになったらさ。
叫んで良いんだからな⁇』
煌君の肩を叩きながら、快斗君がそう言う。
そう言えば、煌君にはされっぱなしだからね。
お礼、お返ししてあげないとな……。
『栞莉、体育着は持ってるの⁇』
翠の言葉に頷く。
体育着は、さっき受け取ったから、今、手元にあるんだよね。
『なら良かったわ。
次、体育なのよ』
『本当っ⁉︎』
翠の言葉に反応して、少し声が大きくなる。
『ええ』
『……栞莉、体育好きなのか?』
多分、他の人から見れば、私は今嬉しそうな表情を浮かべてるんだと思う。
その証拠に、煌君がそう聞いてきた。
『うん。
体育、得意だから』
私の言葉に、聞いてきた煌君よりも、何故か快斗君と翠が反応する。
『栞莉、体育得意なの?』
『栞莉チャン、体育出来るのか?』
……私、そんなに体育不得意に見えるかな⁇
昔からよく言われたような感じもするし……。
煌君は、知っていたような顔でお弁当食べ続けてるけど。
『翠、何するの?』
『確か、バスケだったと思うわよ』
食べ終わったのか、空になったお弁当箱を片付けながら、翠がそう言う。