あの春、君と出逢ったこと
絶対顔が赤いって、自分でもわかるほど、顔に熱が集まってるのがわかる。
ダメだよこれ。
私の心臓がもたない。
顔をそらし、手の甲で口元を隠す。
『……照れてんの⁇』
まるでいつもの仕返しとでもいうように、からかいを含めた声色でそう言って近づいてくる煌君から、一定の距離を保つ。
『あ……翠と快斗』
目の前でそう言った煌君の言葉に、翠と快斗君を探すために慌てて周りを見渡す。
『やっぱ馬鹿だな、お前』
そう言って、何故か私の手をつかんでいる交換を見て固まる。
私を見て、勝ち誇ったように口角を上げた煌君を見て、1つの考えが頭をよぎる。
もしかして、私を捕まえるための嘘、とか……⁇
『正解』
私の考えてることなどお見通しとでも言うようにそう言った煌君を睨む。
『嘘つき』
『騙される方が悪い』
睨む私と、勝ち誇った笑みを浮かべる煌君。
暫くの間そのままの状態で、私達の横を浴衣を着た人たちが通り過ぎていく。
『……参りました』
『やっとかよ』
沈黙に耐え切れず、ため息と共にそう言った私の言葉を聞き、同じようように溜息をつきながら煌君が笑った。
『で、お前は何が食べたい』
語尾にクエスチョンマークすらつけずに言った煌君に笑みが溢れながらも、りんご飴と答える。
『りんご飴は……あっちか』
そう呟いて、また私を置いて進んでいく煌君に、置いて行かれないように急いでついていく。
『これ、走りにくい』
浴衣の振袖つまんでそう文句を言った私を見て煌君が苦笑いを浮かべる。
『そんなもんだろ』
『そうなんだけどね……』
仕方ないか。と振袖を離し、煌君とはぐれないように足を動かす。