あの春、君と出逢ったこと
俺達の会話を聞いていたのか、目元を真っ赤にしながら立ち上がった翠がそう言う。
『症状……⁇』
俺が、栞莉の病気の症状を見ていた?
けど、栞莉は、確かに、元気に、さっきまで終業式に参加していたのに。
『ええ。
……何もないところで転んだり。
最近は、よく、噛んでたでしょう?
……バレンタインの日、煌に、翠が返事をしに行こうとしていた日。
あの時栞莉があんなの所に行けなかったのは、行く直前で……っ、今日みたいに倒れて病院に運ばれたからよ!』
……それを聞いて、硬直したかの様に、動けなくなる。
何もないところで転けているのも、何回も見見たことがある。
転校してきた時、挨拶で、噛んだ栞莉。
アレは、緊張していたからだと思っていたのに。
……違ったのか。
確かに、今思い返せば、初詣の時も結構噛んでた気がする。
症状を聞いて、考えてみれば。
栞莉は、沢山のSOSを俺らに出していたことを知る。
それに、あの日来なかったのも、病気のせいなのか?
それじゃあ、あの日から今日まで学校に来なかったのも、全部……っ…。
俺が嫌いになったとか、逃げたとかじゃなくて、病院で入院していたって事、かよ⁇
それなのに、俺は……。
パニックになる頭を落ち着けて、震える声を無理やり発する。
『じゃあ、死ぬって、なんだよ……⁇』
そんな俺の問いかけに、翠が眼を伏せる。
『……明日、なのよ』
主語を言わず、ボソリと、呟くように翠がそう言う。
『……何が、だよ?』
はっきりと伝えない翠に、心の奥底ではわかっている事を、問い詰める。
聞かないと、後悔する。
今聞かないと、2度と栞莉に合わせる顔なんてない。
そんな、俺の。無理やり決めた決断と。