妻に、母に、そして家族になる
そんなことをぼんやりと考えながら公園に入った瞬間、目に映った公園内の光景に、心臓を握りつぶされるような衝撃に襲われた。

その公園にはハルくんの他にジャージ姿の太った男がいて、その男がハルくんの腕を掴んでいた。

ハルくんは明らかに怯えた表情をしていて、今にも泣きだしそうだったが、恐怖のあまり声が出ないようだった。

全身の血液が沸騰したように、一瞬で体が熱くなる。

「その子に何してるのよ!!」

そして今まで出したことのないような大声が口から飛び出した。

太った男がこちら振り返る前に勢いよく走り出して、持っていたハンドバックを思いっきり投げつけた。

がむしゃらに投げたつもりだったけど、ハンドバックは見事に男の顔面にヒット。

ハンドバックの中身が地面に散らばった。

男はハルくんの腕を離すと、公園から走って逃げてしまう。
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