妻に、母に、そして家族になる
私はすぐにハルくんのそばに駆け寄ると力いっぱい抱きしめた。

「よかった……本当によかった」

「フミちゃん……ボク、っ……」

恐怖から解放されて安心したのか、首に腕を回してきてわんわん声を上げて泣き始める。

知らない男に腕を掴まれて、どんなに怖かっただろう。

あと少し遅かったらと考えると、背筋が冷たくなった。

「怖かったね。もう大丈夫だからね」

私はハルくんが泣き止むまでずっとその小さな体を抱きしめ続けた。
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