妻に、母に、そして家族になる
「息子のことを大切に思ってくれているんですね。息子はアナタと出会ってから、楽しそうに笑ってくれるんです。

だから私は息子に話しかけてくれたアナタに、本当に感謝しています。だから間違いだったなんて言わないでください」

「っ……」

胸が熱くなり、ダメだと思っても涙が勝手に溢れてしまう。

泣き出した私に驚いたハルくんが、ポケットからくしゃくしゃに畳まれたハンカチを差し出してくれる。

「フミちゃん、泣かないで」

「……うん、ありがとう。ハルくんは優しいね」

さっきは間違いだって言ったけど、本当は私もハルくんとの出会いが間違いだと思いたくない。

だってこんなに優しい子との出会いが間違いだなんて思えないから。

むしろ感謝してる。

ちょっと前の私だったら、子供が攫われそうになっていても、恐怖で体が動かなかったかもしれない。
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