クールな御曹司と溺愛マリアージュ
有希乃ちゃんと別れて会場の前に来た私は、そこで一旦立ち止まった。

こんなに素敵なドレスは着たことがないし、正直不安だな。


ドキドキする気持を落ち着かせながら会場に入ると、丸いテーブルが沢山置かれていて軽い食事や飲み物も用意されていた。


キョロキョロと辺りを見渡すと背の高い拓海さんの姿が目に入り、隣には成瀬君もいたためその場へ向かう。


「恵梨ちゃん、凄い綺麗だね」

「ほんとだ!ヤバいよ、恵梨ちゃん可愛い」

「二人共ありがとうございます。少し恥かしいんですけど。佐伯さんは?」

「今ホテルのお偉いさんと話してるんじゃないかな。あいつこういう場所が苦手だから、きっと今頃早く帰りたいとか思ってるかもね」

こういう場所が苦手か、なんとなく分かる気がするな。



会場をぐるっと見ていると、隅の方にいる佐伯さんを見つけた。

話をしている相手は……ワインレッドのロングドレスを着た、綺麗な女性。

なんとなくソワソワしながら佐伯さんを見つめる。
あの人は、誰なんだろう……。


「あれ?渉あそこにいるね」

「はい、そうみたいですね」

佐伯さんにドレスを見せたいけれど……。

「あの女の人……」

「拓海さん知ってるんですか?」


「多分……渉のことを好きだって言ってた人……だったような」


「えっ?それってどういうことですか?」

不安に駆られた私は、拓海さんに詰め寄った。


「心配なら行ってみたら?」

「そうだよ、恵梨ちゃん。あんな人に迫られたら、佐伯さんだって……」


成瀬君の言葉に、私は迷わず佐伯さんの元へ向かった。


なんで?待ってよ、まさか実は遊び人とか、そんなことないよね?


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