クールな御曹司と溺愛マリアージュ
「恵梨さん、おめでとうございます」

「有希乃ちゃん、どうして……」

「ま、とりあえず行きましょうか」

「行くって、どこに?」



有希乃ちゃんに引っ張られるようにして向かった先は、更衣室。

わけが分からないまま中に入ると、有希乃ちゃんは持っていた袋を私に手渡した。


「これは?」

「開けてみてください」

戸惑いながらも袋を開けて中を取り出すと、それは……。


「これって、ドレス?それに、アクセサリーも」

「そうですよ。私、佐伯さんに頼まれたんです。会社で渡すのは恥ずかしいから、私から渡してほしいって」

「佐伯さんが……?」

「はい。直接渡した方がいいって言ったんですけど、どうしてもっていうからOKしたんです」

そう言って可愛い笑顔を私に向けた有希乃ちゃん。


「……ありがとう」

「お礼は佐伯さんに言って下さいね。まったく、あの外見なのにシャイなんだから。そんなことより着替えてみてくださいよ」


更衣室に入って着替えをした私は、大きな鏡で自分の姿を映した。

スリットの入った大人っぽい黒のドレス。胸元で光るネックレスはシンプルだけどとても綺麗だった。


「恵梨さん。今きっと、世界で一番綺麗だと思いますよ」

「有希乃ちゃん……」

「あ、ダメダメ、泣いたら化粧崩れちゃいますよ」

「うん、そうだね……。でも嬉しくて」

「恵梨さん、本当に幸せそうですね。佐伯さんと付き合うことになったって聞いた時は、電話だったのに泣いちゃいましたよ」

「ありがとね、いつも話を聞いてくれて」

佐伯さんの気持はもちろん、有希乃ちゃんの笑顔も優しさも、本当に嬉しい。


「いいえ。ほら、早く行って下さい。恵梨さんがあまりにも綺麗だから、佐伯さんビックリしますよきっと」

「うん、本当にありがとう。また飲みに行こうね」



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