心の中の小さな子供

そして、半年が経つ頃には、友理さんがいると安心して眠れるねぇ。

と、コールも落ち着いてきて信頼も出来たのである。
私はヘルパーとして少し自信がついた。

そしていろいろな入居者の生活パターン、性格、ここに入るまでのあいだどんな生活をしていたのか、利用者様を知るために沢山いろいろなことを覚えた。

そして、平等に接しなくてはいけないのだが私はあるおばあちゃんのことが大好きになった。
その方は筋肉の病気で自分では車椅子に移れないのだが、座位がとれて、手も自由に動いた。

夕飯の時だった、そのおばあちゃんは目の前の人のご飯に手を伸ばし食べて、そっぽを向いて私は食べてないよという仕草をした。
それを注意されると泣き真似なのかうぅぅーあぁぁーと声を出して涙をこぼした。

たまらなく仕草が可愛かった。

別テーブルを置き、他の方のご飯を食べないようにされしまったが、時々足りないと泣くおばあちゃん。

私はこの利用者さんに会いたくて仕事がとても楽しくなってきた。

夜勤明けの日またあさってあいましょうね!元気よく挨拶した。
すると、あんたぁーとおばあちゃんは涙目になってしまった。
「また会えますから!」



その日が最後の日になった。


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