届かないこの想いを、胸に秘めて。





ごめんね、中村くん。
こうでもしないと、溢れてきそうだから。


それを堪えるために歯を食いしばる。




「長田さんまでかー。参ったな〜」

「ククク、そーゆー事だから。チケットよろしく〜」

「分かったよ。考えとく」



そう言ってキミとは昇降口で別れた。

私たちはお手洗いに行くと言って。



香奈恵ちゃんは今回、2度目のウソをついた。
これも私を思っての言動だろう。




最後にちゃんと笑えてたかな?

……笑えてたよね、きっと。



キミの背中がだんだんとぼやけはじめた。



──さよなら、中村くん。

──さよなら、3度目の恋。





キミに恋をした全ての感情は、私の特別でした。


ありがとう。中村くん。



目尻からこぼれ落ちる。たくさんの想いが詰まった雫が。


完全にキミが見えなくなると、私は堰を切ったように熱く冷たい涙が頬を濡らしていった。




さようなら、私の初恋。



出会ってからずっと、


キミが大好きでした──。







< 237 / 306 >

この作品をシェア

pagetop