†皇帝-emperor-†《Ⅰ》



車を走らせて直ぐに陸が、



「総長。溜まり場で宜しいですか?」



と、聞いてきた。


いつもは、そこで”ああ”と言葉をもらすが、



『…いや、自宅に頼む』



言った瞬間、自分でも驚いた。だけど俺以上に前の二人はもっと驚いていた。


当たり前だ。俺は、自分のテリトリーに他人を入れるのが、一番嫌いなんだから——…。


女の顔が綺麗だったからだろうか。


単に俺の気まぐれだろうか。


初めて自分のテリトリーに仲間以外のやつを入れた。


不思議と嫌悪感は感じなかった。


アイツは全てを拒絶してきた俺の中に自然と入り込んできた。


アイツのことを見た瞬間に俺はきっとアイツに惚れてた。


最初の印象は、俺に媚びない女。


一緒にいるようになってからは、いつも自然体で見てると安らぎを与えてくれるような奴。



お前だから俺は惚れたんだ、――瑠璃(るり)。


< 21 / 117 >

この作品をシェア

pagetop