†皇帝-emperor-†《Ⅰ》
車を走らせて直ぐに陸が、
「総長。溜まり場で宜しいですか?」
と、聞いてきた。
いつもは、そこで”ああ”と言葉をもらすが、
『…いや、自宅に頼む』
言った瞬間、自分でも驚いた。だけど俺以上に前の二人はもっと驚いていた。
当たり前だ。俺は、自分のテリトリーに他人を入れるのが、一番嫌いなんだから——…。
女の顔が綺麗だったからだろうか。
単に俺の気まぐれだろうか。
初めて自分のテリトリーに仲間以外のやつを入れた。
不思議と嫌悪感は感じなかった。
アイツは全てを拒絶してきた俺の中に自然と入り込んできた。
アイツのことを見た瞬間に俺はきっとアイツに惚れてた。
最初の印象は、俺に媚びない女。
一緒にいるようになってからは、いつも自然体で見てると安らぎを与えてくれるような奴。
お前だから俺は惚れたんだ、――瑠璃(るり)。