†皇帝-emperor-†《Ⅰ》



暗闇の中には、望んだ希望が見えかけているような気がした。


孤独を背負い続けた琥珀にはやっと、心の置き所が出来たのだろう。


取り巻く環境のせいか常に気が抜けないであろう琥珀。


俺達は琥珀が、変わりゆく様を間近で見てきただけあって余計に心配だった。


そんな琥珀が自らテリトリーに招き入れた女。



琥珀に関心を持たれ、看病された眠り姫。



その傍らで眠る琥珀。




俺と右京はその光景に初めは驚いたものの今は言葉では言い表せないような温かい気持ちになっていた。



俺は静かに扉を閉め、右京と未だリビングに留まっていた残留組と共に琥珀の家を出た。


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