不機嫌なキスしか知らない
私たちはしばらくベンチに並んで座っていた。
特に何を話すわけでもないけど、紘の隣にいてあげたかった。
紘が悲しんでいるのか、もう麗奈先輩のことで泣いたりしないくらいに諦められているのか、どちらかはわからなかったけれど。
それでもなんだかいつもより頼りないその背中を、撫でてあげたかった。
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「ねえ、次のリレーは圭太くんが出るんでしょ?見に行かないの?」
杏奈に誘われて、体育祭の目玉でもある色別対抗リレーを見に校庭の真ん中に行く。
各クラスから足の速い人だけが集まってリレーをする。得点の配点もいちばん高くて、何よりも注目されている競技だ。