不機嫌なキスしか知らない
「わっ」
バサッとタオルを私の頭にかけられて、目の前がタオルの白で埋まる。
慌ててタオルを外したけれど、さっきまでのきまり悪そうな紘の表情はもうなかった。
「もういつもの顔に戻っちゃった」
「──あ?」
「なんでもないです」
……子供みたいに拗ねてる顔が、可愛いと思ってしまった。
私のために圭太と戦ってくれたんだと思ったら、あの必死な表情は私のために見せてくれたんだと思ったら、胸がぎゅうっと苦しくなった。
ああ、ずるいなぁ。
──今日、圭太よりも紘のことばっかり考えてる。