不機嫌なキスしか知らない
「ねえ紘。なんでわかるの?」
「なんでわからないの?」
む、むかつく……。
むっとして紘を睨むと、はは、と性格悪そうな笑みを浮かべる。
決定、こいつは噂通りのクズ。
「紗和、」
拗ねて紘から顔を背けていたけれど、不意に呼ばれたので反射的に振り返ってしまった。
それが、まずかった。
「なに……っ、」
とん、と触れた唇。
目の前には綺麗な顔、長いまつ毛。
驚いて目を丸くしていると、ゆっくり目を開けた紘が、唇を重ねたまま私の目を見る。
どくん、と心臓が跳ねて、胸が苦しくなる。