不機嫌なキスしか知らない



一度離れて、もう一度重なって。

啄むようなキスに、だんだん思考がまわらなくなる。


あつい、あまい、くるしい、いたい。


いろんな感情が渦巻いて、もう入りきらないよ。




「……ん、」





この前の一瞬の、触れただけのキスとは全然違う。

私の唇を確かめるように、味わうように。


何度も重ねられるそれに、息ができなくなってくる。

もう苦しくて、酸素が足りない……。


そう思ったとき、やっと解放されて大きく息を吸う。



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