不機嫌なキスしか知らない
「……幼なじみ、だから。ずっと一緒にいて、圭太のいいところ、いっぱい知ってるの」
「どんなところ?」
なんでそんなこと聞くんだろう。
私に興味なんてないんじゃないの?
「どんなって……」
圭太の、好きなところ。
そんなのありすぎて全部言えないよ。
「……誰にでも優しいとことか、自分のより人のこと優先するところとか、笑った顔が可愛いところとか、私のこといつも、」
──助けてくれるところとか。
そう続けようとした言葉は、紘に飲み込まれた。
塞がれた唇、不機嫌な顔。
さっきの優しいキスとは違う、乱暴なキス。