不機嫌なキスしか知らない







ふたりで学校を出たら、もう暗くなってしまっていた。


こんな時間まで私の勉強教えてくれたのか。



……意外と優しいところもあるな、なんて少し見直してしまう。


まあ、女関係がクズなのは本当だと思うけど。

好きでもない私に今日だけで2回もキスしたよね。それを受け入れてしまう私も大概なのだけれど。





「紗和、家どっち?」

「え、あっちの方だけど……」

「そう」




指差した方に進み始める紘。
慌てて私もついていく。



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