世界はきみに恋をしている。

「ところでミウ、あんた今日タケちゃんと面談じゃなかったの?」

「ああっ!忘れてたっ!」


俺が考え事をしている間に、二人はそんな会話をしていた。ミウは慌てて時計を見て、「やばい、行かなくちゃ!」って走り出す。

カナは「ほんと馬鹿ね」って言いながら笑っている。


タケちゃんは俺の担任のはずなんだけど。なんでミウがタケちゃんの面談なんか受けるのか、それも謎だ。

ミウが走り去って行った後、カナはいつものように帰るのかと思ったらそうでもなく、そのまま本を読みだした。

俺はいつもの席に座って、カナのその姿をじっと見つめる。彼女の黒髪は、いつ見ても綺麗だ。


_____もしかしたら。
もしかしたらカナなら、何か教えてくれるんじゃないか、って。

この美術部のこと。
そして、ミウのこと。

本を読むカナの顔を、もう一度しっかりと見る。聞くだけなら、いいだろ。

俺は、一回息を吸い込んで、そしてカナに問いかけた。


「なあ、ずっと疑問に思ったんだけど、なんでお前ら、美術部の活動は一切しねえの?」


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