恋してバックスクリーン
スリーボール、ツーストライクでフルカウント。吉城さんが踏ん張るか、加茂さんが打つか……固唾を飲んで見守る。

カキーンと、快音が響いた。打球は伸びていく……。加茂さんの犠牲フライで、ついに均衡を破った流星サンダーズが一点をあげた。

青空スターズはピンチが続いたが、なんとか一点だけに抑えて、六回裏が終了した。

七回表、青空スターズの攻撃は、寿彦さんから。今日の寿彦さんは、まだヒットが出ていない。やる気が空回りしているのやろうか……。

そんな寿彦さん相手に、加茂さんは余裕たっぷりのピッチング。キレのあるストレートを、ビシッと決めてくる。これが味方のピッチャーならしびれるけれど。

寿彦さんもなんとかくらいつくが、ノーボール、ツーストライクと追い込まれた。

三球目は全く手が出ず、ストライク。さすがに悔しかったのか、あの寿彦さんが、地面にバットを叩きつけた。喜怒哀楽が無いに等しい寿彦さんが、だ。

さすがにこれには驚いた。九回までにもう一打席、チャンスはあるはず。この悔しさを次の打席に生かせてほしい。

寿彦さんの姿に刺激を受けたのか、海津さんがヒットを放ち、塁に出た。でも、後が続かず、残塁で終わった。


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