私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「そんじゃあ大富豪やろーぜ!」

藍生先輩の一声に大富豪が始まる。

何戦目か分からないほどトランプで遊んで、23時を回りきった頃には、全員ちらほら寝だした。



「尚っち、俺の膝で寝てるし」

「藍生が散々付き合わせたからだろ」

「だって、俺ババ抜き勝ちたかったんだもん」

「もん、じゃない」


眠ってしまった尚くんを布団に寝かせる藍生先輩と瑞希先輩。私は、一護の隣で丸くなる紗枝に歩み寄った。


「紗枝は、部屋に運ぶ?」

「起きちゃうだろ、ここでいいんじゃね?」

「それもそっか」


すやすやと幸せそうに眠る紗枝。

……好きな人の傍って、緊張するのに、世界で一番安心できる場所になったりもする。


「不思議だよね……」


眠ってしまった紗枝の傍にしゃがんで、掛け布団をかけながら、私はぼんやりと呟いた。


「椿?」

そんな私を、一護が見つめてくる。それにハッとして、静かに立ち上がった。


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