私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


「ほら、紗枝」

立ち上がって、紗枝に手を差し伸べると、紗枝は一瞬目をパチくりさせて、すぐに「ふふっ」と、笑みをこぼした。


「なんで笑ってるの、紗枝」

「いや、椿ってさ、男らしい所あるよね」

「………嬉しくないんだけど」


げんなりしていると、笑ったままの紗枝が私の手をギュッと握り返す。

それを引いて、紗枝を立ち上がらせると、嬉しそうに腕に抱きついてきた。


「カッコイイ椿が大好きだよ、私は!」

「紗枝……」


無邪気に笑う紗枝に、毒気を抜かれたように私はいつの間にか入っていた肩の力を抜く。


紗枝って不思議……。
どうして私を、こんなにも癒してくれるんだろう。

紗枝が私に欲しい言葉をいつもくれた。

その優しさが……私には辛かったりする。


「じゃあ、サクっと勝ちに行こうか」

「おおっ、頼もしいよ、椿!!」

私達は冗談を言いながら、コートに出る。

すると、ちょうどうちのクラスの男子達も試合が終わり、女子のバレーの試合を見に来た。



< 49 / 211 >

この作品をシェア

pagetop