私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「っ…そ、そんなわけねぇだろ!!」
慌てるような言い方に、本当に気にしてくれてるのかもと錯覚する。
だけど……そうじゃないかもしれない。
ううん、そうだよ……。
期待はしない、そうじゃなかった時のショックが大きくなるから……。
「………一護が、私たちの事気にする理由なんてないし、東野くんの気のせいだよ…」
「宮野………そうだ、ならさ」
まるで、名案を思いついたかのような顔をする東野くんに、私達はそろって首を傾げた。
「宮野の事、椿って呼んでいい?」
「「………え?」」
何故か、私と一護の声が重なる。
東野くんの突然の提案に、思考回路がショートする。
この話の流れから、どうして私の名前の話になるの?
「それで、俺のことも尚って呼んでよ!一護の事はそう呼んでるんだろ?」
不敵な笑みを浮かべて、東野くんが一護に視線を向ける。