恋のクスリ。






「ここだよ〜っ」







【 Darkness  】




そう書いていある看板がネオン色に光っている。





「このクラブ時代開くのは10時からだけど、今日は特別な日だから早くから開いてるみたい」






そんな音の説明は、俺も耳な入ってこず、ある一点に集中していた。





“ ソイツ ” は、店内の隅の方で、耳に大きな穴の開いた奴から数枚の金らしきものをもらった後、ズボンのポケットから

小さな袋を渡した。







「….アッ」





気づけば、俺はそのやりとりが行われていたすぐそばまで来ていた。






「んだ、お前」




さっき金をもらっていた男が近づいてくる。





「さっきの、くれません?」





「なんだ、さっきのって」




「さっき、渡してたでしょ。袋」





「てめえ、制服着たお子ちゃまのくせに何言ってんだ」







キスしてくるんじゃないかと言うレベルまで顔を近づけてくる男。




その顔の前で俺は、片手を上げ手のひらを広げて見せた。





「5、でいいですよね」






「….は?」





「5万で。足りませんか?」






そう言い俺は財布を取り出した。







「お、おおう。まあそんくらいあんなら…」






いきなり態度が豹変した男に5枚の紙を渡そうとした時









「潤。」







その男の後ろから、静かに低い声が響いた。





「…..は、隼斗さん」




「なんだそれ。」




そう言い、顎で俺が手にしている5枚の紙をさす。




「こ、これはですね….」




潤と呼ばれた男は明らかに動揺していて


俺はただ隼斗という男が放つ雰囲気に怯えていた。



隼斗という奴は俺が持っている紙を3枚とり



「最初はこれでいい。」




といった。



そして振り返り


「お前、次はねえぞ」





と潤に向かって言い放った。









その時


















君が現れた。





























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