俺の手が届く範囲にいろ。
そんな自分が嫌になって
余裕なんて全然なくて……
「……実月に嫌われたな」
と、部屋のドアによしかかりながら
自己喪失に陥ってしまう。
……実月のことが好きじゃなかったら、
どれだけ楽だろうか。
勝手な嫉妬もしなくて済むし、
些細なことで、
あいつを傷付けることもなかった。
……こんなに胸が痛くなることも
なかったのに…。
なんて思っていると…
__ピンポーン…
…不意に家のチャイムが鳴った。