俺の手が届く範囲にいろ。
「ひ、ひどいよ…!
なにもそこまでしなくても良いじゃん…!
は、は、初めて……だったのに……」
と、後半はついボソボソと言ってしまう。
「…ばか。おまえのファーストキスなんて
もうとっくに終わってるし」
そう言って、京ちゃんは
わたしに背を向けて歩き出した。
「…な、なに意味不明なこと言ってるの?
まずは、ごめんなさいでしょ?」
「なんだよ、助けてやったのに。
…実月、ありがとうは?」
「……そ、それはありがとう」
「ん、どういたしまして」
そう言って、頭をポンポンと撫でられる。