俺の手が届く範囲にいろ。
「え、え……?」
戸惑うわたしに、彼は話を続けた。
「……なにがあったか知らないけど、
泣かないでよ実月ちゃん。
見てて俺が辛くなる」
「……へ?こここ、航くん…!?」
驚きのあまり、わたしは噛み噛みで
航くんの名前を呼んだ。
え……
わたし航くんに、抱きしめられてる……?
「……こ、航くん…」
京ちゃんじゃない香りが、鼻をかすめた。
こうゆうのに、慣れてないわたしは…
ビックリしすぎて落ち着かないけど…
でも、航くんの優しさだけは
十分に伝わった。