俺の手が届く範囲にいろ。
……目をつぶると、
京ちゃんとの思い出が蘇る。
物心付いたときから、いつも隣にいる人。
いつでも、守ってくれる人。
「……あ。」
そんなことを呟いて、
わたしは京ちゃんと向き合うように
再び寝返りをした。
「…ん?どうした?」
「わたし、思い出した…」
「……なにを?」
「あのね、わたし…
京ちゃんのことを好きになるまでは
ずっとお兄ちゃん…っていうか
家族みたいな存在だと思ってたんだ。」
「……なんだよ今更。
そんなこと、知ってるよ」
そう言って、
不機嫌そうな声で呟く京ちゃん。