俺の手が届く範囲にいろ。


「な、なるほど…。……ん?でも待って。
わたしは、航くんのことが好きだから
嫌な気持ちになるけど…
わたしと京ちゃんは幼なじみだよ?」


つまり、京ちゃんがわたしに妬く…
という結論にはならないわけで……。


つまりつまり、あのとき
京ちゃんが不機嫌になったのは、
やっぱりわたしの熱弁話が
うるさかった、という結論になる。


……なんて言ったら
満足気な顔をしていた菜々ちゃんが
急に真顔になった。


そんな表情のない菜々ちゃんの顔を見て
わたしは思わず、ギョッとしてしまう。


そして……


「はぁー…、ダメだこりゃ」


と、結局また呆れられてしまう始末。

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