鬼と仮面
「桃栗三年柿八年、柚子は九年の花盛り」
「……梅は酸いとて十三年」
「梅? 初めて知った」
他にも梨とか、枇杷も聞いたことがある。炬燵に入りながら眠そうにする灰澤さんを見る。
栗を剥きながら眠るって、なかなかの芸当だ。
「眠いなら眠って良いですよ」
「十三年かあ。私たちが中一のときは種だったのが、今では実を結んでるってことですね」
灰澤さんの顎の下にキーウィのぬいぐるみが挟まっている。
実を結ぶ……そうか、長い年月だ。でも、必要な年月だった。
「灰澤さん、結婚しませんか」
栗を剥いている状況で言われたくなかったかもな、と言った後に気付いた。
黙っている灰澤さんを見る。キーウィに顔を埋めていた。
「灰澤さーん」
「喜んで」
キーウィが鳴き声をあげる。笑顔が見えた。
可愛過ぎる。
20171017 番外編end.