鬼と仮面
矢敷さんに手を握られて引っ張られる。
「じゃあな、鹿沼」
矢敷さんは鹿沼くんにだけ声をかける。鹿沼くんは私にも手を振った。
居酒屋から遠ざかる。居酒屋の立ち並ぶ通りは明るくて、看板の色に目がちかちかとする。
「ちょ、ちょっと、矢敷さん」
「はい」
「言いたいことが山ほどあるんだけど!」
「俺もあります」
歩調が緩められて、隣を歩く。
「急に可愛い顔で笑わないでください、あと急に好きですとか言うのもやめて」
「え?」
「押し倒したくなるので」
そう言った矢敷さんは、急にまた唇を重ねてきた。