ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
一階の隅に設けられた障子戸を開け、鈴木さんが「中へ」と促す。
「失礼します」
軽い会釈をしてスリッパを脱いだ。
青い畳の表面に足先を乗せて前を見ると、立派な仏壇が置いてある。
一瞬だけ息を飲んだ。
でも、すぐに社長のお母さんのものだと気づいた。
「お座布団をどうぞ」
青緑色の綺麗な分厚い座布団を出され、「お構いなく」と言った。
その上には乗らない私の態度を確かめて、鈴木さんは「失礼します」と部屋を出た。
障子が閉まるのを確認して仏壇の方へ歩み寄る。
出された座布団よりも厚みのある紫色のものを避け、仏壇の前に座った。
仏壇には綺麗な生花が活けられていた。
花の横には小さなフォトフレームが置いてあり、その中には微笑みを浮かべる女性の写真が飾られている。
社長と同じくアッサリとした顔立ちだけど綺麗な人だ。切れ長の眼差しと薄い唇がよく似ている。
初めましての意味を含め、蝋燭に火を灯させてもらった。
紫色をした線香を手に取り火に翳した瞬間、「あっ…」と気づくものがあった。
(この香り……)
社長の側へ寄った時に香ったものと同じ。
コロンなのかと思ってたけど、線香の香りだったんだ。
(どうりで、鼻をくすぐると思った)
ようやく解ってホッとした。
私と会う前、社長はいつもこの仏壇にお参りをしてたんだ。
(片桐真綾と言います。よろしくお願いします)
「失礼します」
軽い会釈をしてスリッパを脱いだ。
青い畳の表面に足先を乗せて前を見ると、立派な仏壇が置いてある。
一瞬だけ息を飲んだ。
でも、すぐに社長のお母さんのものだと気づいた。
「お座布団をどうぞ」
青緑色の綺麗な分厚い座布団を出され、「お構いなく」と言った。
その上には乗らない私の態度を確かめて、鈴木さんは「失礼します」と部屋を出た。
障子が閉まるのを確認して仏壇の方へ歩み寄る。
出された座布団よりも厚みのある紫色のものを避け、仏壇の前に座った。
仏壇には綺麗な生花が活けられていた。
花の横には小さなフォトフレームが置いてあり、その中には微笑みを浮かべる女性の写真が飾られている。
社長と同じくアッサリとした顔立ちだけど綺麗な人だ。切れ長の眼差しと薄い唇がよく似ている。
初めましての意味を含め、蝋燭に火を灯させてもらった。
紫色をした線香を手に取り火に翳した瞬間、「あっ…」と気づくものがあった。
(この香り……)
社長の側へ寄った時に香ったものと同じ。
コロンなのかと思ってたけど、線香の香りだったんだ。
(どうりで、鼻をくすぐると思った)
ようやく解ってホッとした。
私と会う前、社長はいつもこの仏壇にお参りをしてたんだ。
(片桐真綾と言います。よろしくお願いします)