ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
「私怒ってないって送ったでしょ」


単純に大輔さんのドライなところが気に入らないだけ。


「その割には顔がムクれてる」

「元々こんな顔よ」

「いや、いつもはもっとシュッとしてる」

「シュッとって何?」

「もっと可愛いって意味」

「か、可愛い……って…」


言い返す言葉が見つからずに顔が熱くなった。


「ほら、そんな感じの顔」


単に照れてるだけじゃないの。


「とにかくこっち来いって」


下から手を引っ張られた。

勢い付いて階段を二、三段駆け下りる。

そのせいで転がりそうになった私の背中を壁に押し付け、大輔さんが上から覗いた。


「壁ドン」


「は……?」


一気に距離が縮む。
大輔さんの付けてるワックスの香りがして、体中が包み込まれる気がした。



「不機嫌そうなLINEの意味は何だ」


声だけはシビアな感じのままで聞く。


「だって、ホタルが病気かもしれないのに下着の話とか持ち出すし、不謹慎なような気がしたの」


様子を見に行くというのは、彼の部屋に泊まりに行きたいって意味じゃなかったのに。


「不謹慎も何も、俺はケイが来たら帰す気にはならねぇよ」

「例えばそうであったにしても、あんなふうに文字にされるのはヤダ。大輔さんのお父さんの形見が、もしかしたら死んでしまうかもしれないのに……」


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