ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
『私には、彼しかいないってわかったから』


「バカみたいだと思わない?人のモノになった途端、相手の良さに気づいたようなの」


「それで?」


一重の眼差しは私をじっと眺めている。


「勿論バカなこと言わないで欲しいと言った。でも、彼も一緒になって謝りだして……」



『聖ちゃんよりも大事なんだ』



「私と付き合いだした時に言った言葉って何だったの!?って思った。まるでペテンにでも掛けられた気分で、二人を目の前にして言ってやったの」


『バカを言うのも休み休みにして。これじゃ私がまるでピエロじゃん!』


「火に油注ぐようなことしたな…と、今ではそう思うけど……」


私なりに彼には尽くしてきてるつもりだった。
真綾や聖のように、相手が運命の人じゃなかったってだけで。


「付き合ってるのに彼を奪うとかあり得ない。やり直したいとか考えること自体も烏滸がましいと思う。私のいない所で二人がヨロシクやってたのかと思うと辛かったし、二度と顔を見せないで欲しいと思う反面、同時にやりきれないくらい悲しくて……」


喋りながら当時の自分を思い出していた。
幸せの絶頂にいるんだと信じていたのは、私一人だけだったんだ。



「あーもう!」


悔し涙が溢れそうになって、思わずメガネを外した。


「こんな昔話をさせなくてもいいでしょ!こんなイヤな思いするの、私だけで十分なんだから!」


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