ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2
そのまま居眠りしてしまうこともザラ。
でも、それが宝物だと言えるーーーー。



一頻り自宅でのことを思い浮かべていた。
それを思い出しながら社長の家での様子はどんななんだろうかと思った。


「スケジュールに変更がなければ今日はこれから会議だな」


社長の声にハッとした。
はい…と答えて、準備に行きます…と言い、部屋を出た。



社長と副社長が二人だけになる空間。
その中であの二人は、どんな会話をしているんだろうか。


(そう言えば、そんなことも考えたことなかったなぁ)


余裕がなかったと言うよりも興味がなかったんだと思う。
社長にもその周りの人達にも。



「君の宝物は何?」


そう聞いてきた社長の宝物というのは何だったんだろうか。
車内での声のトーンからして、家族が宝物という雰囲気ではない気がした。


答えが見つかるかもしれないと思い、社長に手渡された「身上書」なるものを読み返した。
その手紙の内容には、今まで知り得なかった情報も書かれてあった。


途中、ぎゅっと胸の痛くなる内容が記されていた。
全部を読み終えた時、なんとも言えない重く苦しい気持ちになってしまった。


喜怒哀楽がないんだとばかり思っていた。
人付き合いが苦手なんだとばかり感じていた。


ところが、そうじゃないんだと知った。


社長はやはり、敢えて人付き合いを避けている。


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