五月雨物語
まるで三角形のおにぎりの両端に

塁と翔がいて

あたしがその上に

のっかってる感じだった。

どっちが欠けても

三角形は崩れてしまう。

どっちかに比重をおくと

それは成り立たない。

好きっていう感情が

なんだかよくわかんないけど

心は二つにあった。

塁は、長く穏やかに

付き合っていける人。

翔は、瞬間、瞬間を

満足させてくれる人。

どっちも大切。

どっちも選べない。

どっちも失いたくない気持ち。

勝手と言われれば

凄く身勝手な感情だったと思う。

でも塁と翔の優しさに甘えてた。

二兎追うものは一兎も得ずと

言うけど、居心地がよかった。

それが塁を傷つけてるなんて

わからずに・・・
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