五月雨物語
やっと気づいてくれたのか・・・

てか、

あたしもすっかり忘れてたよ。

さっき座ってた場所に

置いてた花が、寂しそうに

濡れていた。

「今度、暇なとき店来いよ。

お祝いの歌くらい

プレゼントしてやっから。」

そう言ってにかっと笑うと

よっこいしょ!と

重そうに左足をひきづって

立ち上がった。

あたし達は、

あのタクシー乗り場で別れた。

ここで初めて話して

ここで、別れて

そしてまた、あたしは・・・

ここに会いにくるのだろう。

何度となく・・・

そんな予感がした。

この時、あたしの中で

ある決心が芽生えていた。


< 54 / 240 >

この作品をシェア

pagetop