子供達は夢を見ない
一見見れば何処かの大富豪の家だろう。
恩田は屋敷の裏口に居た。
鍵が掛かっているが、この程度ならピッキングで開けられる。

ギィィ。

ドアが軋む音がする。

中を見渡す。
どうやら廊下のはじに出て来た見たいだ。

早速無線で羽根田を呼び出す。

『どうしました?』

「中には入れたが、場所は分からない…」

『あ、場所ですね。事前の調査によると地下の監禁室に捕われてるみたいです。え〜…階段はそこを右に進んだ所です』

「了解。作戦を開始する」

『頑張ってくださいね』

右か…。
恩田は銃を構えるとゆっくり歩き出した。

ギィ。ギィ。

歩く度に床が軋む。

「!!」

恩田は素早く部屋に隠れた。
誰かが歩いてくる。

『おい、聞いたか?隣の施設で何者かが侵入したらしいぞ?』

『本当か?』

『しかも、女みたいだ。今緊急収集が掛かったんだ』

『人質はどうする?』

『鍵は掛かってるだろ?』

『あぁ、勿論だ』

『なら大丈夫だろ。急がなきゃ叱られちまう』

足音は去って行った…。
どうやら前木の陽動作戦は成功しているみたいだ。

恩田は部屋から出ると階段を降り始めた。
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