テレビの向こうの君に愛を叫ぶ

「……もういいだろ?春、悠。」


俺がそう言うと、「うっしゃ、春翔参上!!」と言いながら部屋に春翔が入り込んできた。
実はさっきから、ドアは開けっぱなしだったのだ。
倉持緩は視野が狭い。
きっと、俺と悠と望と自分の四人だけの空間に意識が向いていて、そこで動画を撮っていた春と悠には気づかなかったのだろう。

倉持緩は、悠の手にある携帯を見て、目を白黒させた。


「さぁて、これをどうしよか?……まぁ、どうしようとも、倉持緩の芸能界追放は確実やな」


探偵気取りの春。
にこにこしてなんだか楽しそうである。
隣の悠は、望と倉持を交互に見ては、蛇のような目で睨みつけている。
倉持緩は悔しそうな顔を歪ませ、目にじわりと涙を浮かべた。


「………ごめんなさい」


聞き取れるか聞き取れないかの境目くらいの声で、倉持緩は謝った。


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