溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~

助手席のドアが開き、イチョウの葉を思わせる派手な色のワンピースをまとった瑠璃さんが近づいてくる。

にこにこ笑っていた彼女はいきなり私に顔を寄せ、耳元で囁いた。

「プレゼントは受けとってもらえたかしら」

「え……?」
 
瑠璃さんの厚ぼったい唇が、弧を描く。

「てっきりクビになると思ったのに、世の中って案外甘いのね」

「まさか……あなたが」
 
会社に送られてきたファックスと社員全員に送られたメールを思い出して、喉の奥が熱くなった。憤りを抑えるように、とっさに手を握り締める。爪が食い込んで手のひらが痛い。

「さっさと生吹と別れてよね」
 
愛らしく首を傾けて言うと、彼女はきびすを返した。当然のように後部座席に乗り込み、ウィンドウを下げる。ひらひらと手を揺らして、彼女たちを乗せた車は暗闇の中を走り去っていった。

< 160 / 205 >

この作品をシェア

pagetop