溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
助手席のドアが開き、イチョウの葉を思わせる派手な色のワンピースをまとった瑠璃さんが近づいてくる。
にこにこ笑っていた彼女はいきなり私に顔を寄せ、耳元で囁いた。
「プレゼントは受けとってもらえたかしら」
「え……?」
瑠璃さんの厚ぼったい唇が、弧を描く。
「てっきりクビになると思ったのに、世の中って案外甘いのね」
「まさか……あなたが」
会社に送られてきたファックスと社員全員に送られたメールを思い出して、喉の奥が熱くなった。憤りを抑えるように、とっさに手を握り締める。爪が食い込んで手のひらが痛い。
「さっさと生吹と別れてよね」
愛らしく首を傾けて言うと、彼女はきびすを返した。当然のように後部座席に乗り込み、ウィンドウを下げる。ひらひらと手を揺らして、彼女たちを乗せた車は暗闇の中を走り去っていった。